2018年03月31日
慢性腎炎と鍼灸治療
今回は、「慢性腎炎」と鍼灸治療についてお話します。
「慢性腎炎」とは、腎臓の「糸球体」という部分の機能が低下し、数年から数十年にわたり徐々に腎機能を障害する病気です。
「糸球体」は血液から「尿」を作る際のろ過装置で、血球やタンパクが尿の中にこし出されないよう働いています。
「糸球体」の機能が落ちると、尿中に血球やタンパクがこし出され「血尿」や「蛋白尿」となります。
血液中の血球やタンパクがこし出されると血液に必要な粘り気がなくなり、血液の液体成分が血管外にもれ出て「むくみ」が起こります。
また腎臓は血圧の調節も行なっているため、「高血圧症」も発症します。
重大な病気にもかかわらず痛みや苦しみを伴いません。
そのため、病気に気が付かないことや「慢性腎炎」と知りつつも養生法を守らずに病気を進行させることが多いので要注意となります。
病気が進行し、腎臓機能の約30パーセントしか働かなくなると「腎不全」に陥ります。
腎臓は、血液中に吸収された「たんぱく質分解産物」や「腸内腐敗産物」を対外に排出する働きがある重要な臓器であり、まさに肝腎要の臓器です。
「腎不全」が進行しその機能が失われると、血液中に老廃物が溜まり、命に関わる「尿毒症」という恐ろしい病気にかかります。
病理学では、「慢性腎炎」が「免疫異常」により起こり、「免疫異常」は組織の過度な疲労や血行不良が要因としておこることがわかっています。
水分の多量摂取や身体を冷やすことなどが腎臓に大きな負担をかけ、腎臓の血流低下を引き起こします。
水分多量摂取・薄着ファッション・冷飲は、現在ごく当たり前のように行なわれています。
今後このような状況が継続すれば、「慢性腎炎」に罹患する患者が増える可能性は大きいと考えます。
薬物治療では、「慢性腎炎」に対し「副腎皮質ホルモン」を使用します。
全身の免疫力を抑制することで「免疫異常」を軽減し、「慢性腎炎」が回復するように治療します。
しかし、体力が衰え「自然治癒力」が低下している状態では、「免疫異常」を抑制しても「慢性腎炎」が根本的に治らないことが多くあります。
一方、当院で行う鍼灸治療は、冷えと疲労を取り、全身の血流を改善し、免疫力を高めることを主眼に行ないます。
その結果腎臓を含めた全身の「自然治癒力」は高まります。
尚、「慢性腎炎」に対する治療では、腰部・臀部・下腹部・足部のツボにお灸を特に用いますが、腎臓における正しい血流と免疫機能の回復が期待できます。
つまり、鍼灸治療は、「慢性腎炎」に対し根本的な治癒を期待できる治療法なのです。
また、「慢性腎炎」の治療には養生が大切となります。
治療の際は、正しい養生の知識を患者さんにお伝えいたします。
腎臓の病は根が深く、継続的に根気良く治療しなくてはなりません。
しかし、正しい治療と養生をすることにより改善は可能と考えます。
「慢性腎炎」にお悩みの方は是非一度御相談ください。
(文責:吉田)
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